信電舎 技術通信📰【Vol. 2】 歯車の転位とは?

2023年10月26日

皆さんこんにちは。いつの間にかすっかり秋ですね。

身体を動かすにはとても良い季節で、「スポーツの秋」を謳歌される方もたくさんいらっしゃる事かと思われます。適度な運動は代謝や免疫力の向上だけでなく、ストレスの解消にも大いに役立ちます。これから訪れる寒い季節に備えて、心身の強度UPを図りたいですね!

強度UPと言えば、減速機メーカーである我々のテーマの一つに、歯車の強度UPがあります。材料選定や熱処理といった、素材の機械的性質からのアプローチの他に、「転位」という方法があります。今回は、歯車形状を変化させることで強い歯車を作る「転位」について簡単に書いていきたいと思います。

 

歯車強度低下の要因 【アンダーカット】

歯数の少ない歯車を加工する際、アンダーカット(切下げ)が発生します。アンダーカットとは、歯元における歯形曲線の一部分が切りとられる現象のことです。歯車は歯面に力が掛かるので、図の様に根本のくびれた歯車は曲げ強さが不足し、歯折れの原因となる事があります。         

■アンダーカット歯形    ■アンダーカット創成図  

 

アンダーカット対策【正転位】

アンダーカットによる強度不足には「正転位」によって問題を解決できる場合があります。「正転位」した歯車は歯厚が厚くなり、負荷方向への強度が増します。また「転位」は歯車外径が変化するので、歯車同士の噛合い距離の調整にも度々使われています。

■転位歯車 歯形

 

 ■転位歯車 創成図

歯車の強度UPに非常に有効なこの正転位ですが、歯車外径も連動して変化する為に歯先が尖りだしてしまう限界値が存在し、限界値を超えると有効な歯車形状を逸脱してしまいます。限界値の範囲内で最適な「転位係数」を設定する必要があります。歯数の多い歯車なら、逆方向の「負転位」でもアンダーカットは発生しない余裕がある為、小歯車と大歯車の速比を目的とした噛合いには、互いに「正・負」を分け合うように設計を行います。また、元々設定されている中心距離で歯車同士を嚙合わせる為に、やむを得ず切下げで設計する事もありますが、歯車強度が確保できているのであれば、問題なく使う事ができます。材料選定や熱処理も併用し、ベストな強度UP提案を行う事を心がけております!

転位にまつわる各種計算式が当HPの「ギヤ設計の計算式集」ページに載っています。興味のある方は是非覗いてみてください!

 

という訳で今回はここまで!また次回をお楽しみに!

 

 

 

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